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黒影の館

篠田真由美

1980年秋、突然の養父の死。神代宗は傷付いた心を埋めるため訪れた北の町で、謂れなき殺人の罪をきせられてしまう。疑惑が晴れぬまま土地を支配する久遠家の「館」に軟禁され、血塗られた過去を目撃することに。謎の美少年・アレクセイが悲劇の真相を語り始めたとき、銃声が轟く!ついに物語はクライマックスへ加速する

1980年秋,突然養父去世。 神代宗為了填補受傷的心而來到北面的城鎮,被背負起了無所謂的殺人罪。 久遠家的“館”被軟禁在疑雲未被解開的土地上,目睹了血染的過去。 當神秘的美少年亞曆克斯開始講述悲劇的真相時,槍聲轟鳴! 故事終於加速到高潮



薔徹の名は薔薇でなくとも

即使玫瑰的名字不是玫瑰



01


「いい加減にしてくださいよ、神代さんツ」

栗山深春が大声を張り上げた。


「俺は真剣なんだ。それをそんなのらくらした、与党政治家の答弁みたいなもんでごまかそうっていうんですか。いくら恩師だからってそりゃないでしょう。そろそろ俺も切れますよ!」

「請適可而止吧,神代先生。」
栗山深春大聲喊叫。

「我是認真的。 你是說用那種遊手好閒的執政黨政治家的答辯來糊弄人嗎。 就算是恩師也不可能吧。 我也差不多該掛了!」

東京文京区、国立丅大にもほど近い、古びた住宅街の中に建つ神代宗の子自自宅座敷だ。時は二00二年の12月初旬,優しい死神事件の主犯格が逮捕されてまだ二週間しか経っていない。

這是在距離東京文京區國立丅大很近的古老住宅街中建造的神代宗之子自宅敷。時間是2000年12月初,溫柔的死神事件的主犯格被逮捕還只過了兩周。

初夏の六月から半年近く滯在した長野県の高級会員制リゾート、鏡平から、深春と蒼が引き上げてきてからも同じく二週間。蒼は二日ほど松本式內の病院に入院して検査を受けたが、それも医師の許可が下りてすぐ退院して東京に戻り、取り敢えずは神代宅に寝泊まりしている。

從初夏的六月開始就停留了近半年的長野縣高級會員制度假勝地鏡平那裡,深春和蒼上來後也過了兩周。蒼在松本式內的醫院住院檢查了兩天 那也是在醫生許可下來後馬上出院回到東京,總之先住在神代家裡

足先に東京へ引き上げた深春は、しかし谷中のマソツヨソに腰を落ち着けてもいなければ、これまでのガテソ糸アルバイト生活に復帰したわけでもない。

先到東京去的深春,雖然沒有在山谷中的Masoyoso安頓下來,但也沒有回歸到以前的自由地打工生活。

桜井京介は鏡平から姿を消した。会員のひとりが連れてきたゲスト、そのときはジュエリー・デザイナーと称し、深春には自らスクープ狙いのフリー・ジャーナリストだと名乗った女が、休業しているはずのホテルに突然現れ、京介を連れ去って。深春はそこにいたが、睡眠薬を飲まされていて抵抗することも、なにが起きたのか問い質すことも出来ないまま置き去りにされた。

櫻井京介從鏡平那裡消失了。一個會員帶來的客人,那個時候被稱為珠寶設計師,深春自稱是以獨家新聞為目標的自由記者,突然出現在應該停止營業的飯店 帶著京介離開。雖然深春就在那裡,但他被灌了安眠藥而無法抵抗,也無法追問到底發生了什麼,就這樣被拋弃了。

ホテル支配人の檜垣に揺り起こされたときには、すで翌日の朝になっていて、相手は万全を期していたはずのセキュリティを、いかに休業中とはいえ破られたことに恐縮しきりたったが、深春が最初に覚えたのは己れの不甲斐なさに対する苛立ち、次いで自分は十年以上も友人づきあいをし、この数年はルーム・シェアまでしてきた京介のことを、ろくに知らなかつたのではないか、という愕然とするしかない認識だつた。

被酒店老闆檜垣晃醒的時候,第二天早上,對方本來期待著萬無一失的安全性,怎麼說是在休假中被打破了,對此我感到十分惶恐,但是深春最初記住的是對自己不爭氣的焦躁 接下來,和朋友交往了十多年,這幾年一直是室友的京介,我只能愕然地認識到,我是不是完全不知道他

彼が高校時代、この神代宅で生活していたということは、深春も一応耳にした覚えがある。それより以前のこと、生まれた土地や実家、親の素性そこから離れるに至った事情についても、神代はある程度知っているらしい。だがそうした彼の個人情報につない、深春は当人にも神代にも問い質したことはない。京介自身が問われることを望んでいない、というのは感じられたし、それについてはある意味お互ぃ様だ、という気持ちもあった。

我記得深春也曾經聽說過他在高中時代在神代家生活過。在那之前,關於出生的土地、老家、父母的出身離開這個地方的事情,神代似乎也有一定程度的瞭解。 但是,與他的個人資訊聯系在一起,深春本人和神代都沒有問過。我感覺到京介自己也不希望被問到,也有這樣的心情在某種意義上是相互的。

同じ私立w大学の文学部に在籍した深春が、京介と初めて出会ったのは大学近くの下宿輝額荘で、そこに集まった学生たちは皆をれぞれが親や実家から遠ざかる理由や事情を抱えていた。深春にもそれはあった。東京で浪人生活を送つていたときに母が急死し、そのことで父や長兄と大喧嘩をして以来のわたかまりのために、山梨の実家にはほとんど帰らないまま過ごしてきたのだ。

同是私立w大學的文學部在籍的深春,第一次和京介相遇是在大學附近的寄宿輝額莊,聚集在那裡的學生們都有著各自遠離父母和父母的理由和情况。 那個在深春也有。 在東京過著流浪生活的時候,母親突然去世,因為這件事和父親、大哥吵了一架,之後就一直沒有回山梨的老家。

人が百人いれば百通りの『事情』がある。そして人は結局、自分を基準にしてしか物事を考えられない。いくら血が繫がっていても、訳もなく折り合いの悪い親孑、虫の好かないきょうだいというのは珍しくない。深春と長兄もそれで、最近ようやく年に一度の法事くらいは実家に顔を出すようになれたのも、兄嫁たちの心遣いのお陰だ。だが、そんな話を京介に打ち明けたことは一度もない。だから彼の事情についても、自分がなにも聞かないのは当たり前のことだと思っていた。

如果有一百人就有一百種不同的“情况”。 然後人最終只能以自己為基準來思考事物。 無論血緣有多麼牽絆,沒有緣由關係的孑然一身,關係不好的父母,不討人喜歡的兄弟姐妹並不少見。 深春和他大哥也是如此,最近終於一年一次的法事能在老家露面,也是多虧了嫂子們的關心。 但是,我從來沒有向京介說出過這樣的話。 所以關於他的事情,我覺得自己什麼都不聽是理所當然的。

京介にもきっと何か、人生の早い時期に実家とのトラブルがあつたのだろう。それで故郷を離れ、一切関係を持たぬままでいるのだろう。その程度のことしか思わずに「生まれ故郷も不明なままの桜井京介」というものに慣れて、取り立てて違和感を覚えることもないまま、いまにいたっていた。

京介也一定是在人生的早期與老家發生過一段麻煩吧。所以離開了故鄉,一直沒有任何關係吧。 只想到這種程度,就習慣了“出生在故鄉不明的櫻井京介”,也沒有覺得特別彆扭,一直到現在。

だが、半年前まで彼とシェアしていた谷中のマンションに帰つて、改めて部屋の中を見回し、クローゼツ卜を開き、本棚やデスク回りを確認して、遅まきながら深春は呆然とする。どこもかしこもひどく整然と片づいていて、京介のプライヴァシーを語るものがなにも残つていないのだ。

但是,回到半年前和他共同居住的公寓中,重新審視了一下房間,打開了壁櫥,確認了一下書架和桌子周圍,雖然晚了些,深春還是目瞪口呆。 哪裡都非常整齊地處理著,說京介的隱私的東西什麼都沒有留下。

彼が長らく書き続けていた論文が、仕上がったと聞いたのは昨年、二OO一年の半ば頃だった。デスクとパソコン回り、果てはウォークイン・クローゼットの中まで占領しかけていた近代建築関係の専門書や建築調査のノート類、写真類はその時点でさっばりと跡形もなく片づけられている。

聽說他寫了很長時間的論文,是在去年二OO一年的中期完成的。 在辦公桌和電腦周圍,甚至被佔領到沃奎因•壁櫥中的近代建築相關專業書籍和建築調查的筆記本類,照片類在那個時候被整理得連痕迹都沒有。

調査記録や専門書は、W大理工学部の学生がまと
めて引き受けてくれたと、そんなことはちらっと耳にした覚えがあるが、別に不思議にも思わず聞き流した。邪魔な物がなくなるのは有り難い、くらいにしか思わなかったのだ。肝心の完成した論文らしいものは、Wクリツプで綴じたプリントアウトにCD ーROMも添えて、デスクの引き出しに納められていたが、後は住所録や手帳すらない。京介が使っていたバソコンを開いても、ゴミの中まできれいに空っぽだつた

調查記錄和專業書籍由W大理工學部的學生共同編寫,我記得有一次聽說,他是第一次接受我的請求的,但也不覺得有什麼不可思議。 我只覺得很感謝沒有礙事的東西。 最重要的是完成論文的內容,在用W clip裝訂的列印輸出處還添加了CD ROM,放在桌子的抽屜裏,但是之後連地址簿和筆記本都沒有。 即使打開京介用過的百科全書,垃圾裏也都是空蕩蕩的

さらに、京介がこのマンションに寝泊まりし始め
てからも借りたままだったはずの大学近くの下宿に行ってみて、再び深春は愕然とした。見慣れた古めかしい木造二階建ての建物は、ちょうど取り壊し中だった。大家の老婦人が高齢のために、とうとう下宿を閉めたのだとはわかったが、それに先立って京介は部屋を解約していた。今年になって、深春が蒼と鏡平に籠もっている間のことだ。

接著,京介去了剛開始在這間公寓住下就一直租的大學附近的公寓,深春再次愕然。 一座熟悉的老式兩層木結構建築正在拆除中。 知道了房東的老婦人因為高齡,終於關上了公寓,但是在那之前京介已經解約了房間。 這是今年深春在蒼和鏡平籠中期間的事。

(あの野郎意識的に自分の痕跡を消し去っていやがる⋯⋯)

事ここに至っては、深春もそれを事実として認めるしかない。初めはマンションの同じ部屋で暮らしている自分も、不思議に思わないほどさりげなく、そして深春と蒼が不在の半年に、彼はその作業を完璧にし終えたのに違いない。

(待てよ。だとしたら、あれもー)

蒼が病床の母親に付き添って、東京を不在にしていた昨年の半年。京介の様子が変わった。必要なとき以外は平気で夜型だった彼が、朝七時起床十二時就寝の昼型になった。週に一、二回、スポーツ・ジムでマシン・トレーニングや水泳をするようになった。それまで当然のようにこちらにさせていた、料理や洗濯、掃除をこなすようになった。最初はなにが起きたのかと驚き呆れた深春も、彼が不健康な生活を自主的に改める気になったなら、,結構な話だと納得してしまったのだが。

(あれが、なにかの準備だったとしたら?)

(那個混蛋有意識地抹去自己的痕迹⋯)
事已至此,深春也只能承認這是事實。一開始住在同一間公寓裏的自己,也毫不在意地毫不在意地,而且深春和蒼不在的半年裏,他一定完美地完成了這項工作。
(等一下。如果是這樣的話,那也是。)
去年的半年,蒼陪著病床上的母親離開了東京。京介的樣子發生了變化。除了必要的時候以外,還滿不在乎地做著夜貓子的他,變成了早上七點起床十二點睡覺的白天型。一週一兩次,在健身房鍛煉機器、游泳。 在那之前,我理所當然地讓他來做料理、洗衣服、打掃衛生。剛開始還以為發生了什麼而吃驚的深春,如果他想自主地改變不健康的生活的話,就認同了這是件好事。
(如果那是某種準備的話?)

なにかとはいうまでもなく、京介の『失踪』だ。より正確を期するなら、失踪したその先てなにをしようとしている、そのための準備ということになるのかも知れないが。

そして深春にしてみれば「京介が連れ去られた」という表現をしてそれほど不当ではないように思うのだが、実際に起きたこと、少なくとも深春が見聞きしたことを公平に判定するなら、「京介は自分の意志で失踪した」というしかないのだ。自分の痕跡を消したり、身体を鍛えたりしていたということだけでなく、彼は深春が飲んだ水に薬物が混入されていることを知っていたようだし、最後は自分の腳で鏡平から立ち去ったのだから。

『桜井京介は今日限り、この地上から消える 』
『彼を忘れてくれ』
『忘れてくれ、たったいま』

そんなことばを残して。

不用說什麼,這就是京介的“失踪”。如果期待更準確的話,失踪之後會做些什麼,也許就是為了這個而做的準備吧。
而且,在深春看來,“京介被帶走了”這樣的表達並沒有什麼不合理的,但是如果要公平地判斷實際發生的事情,至少深春所見的事情的話,只能說“京介是按照自己的意志失踪的”。 不僅是消除了自己的痕迹,鍛煉了身體,他好像知道了深春喝的水裏混入了藥物,最後用自己的步調離開了鏡平。
《櫻井京介今日將從這片土地上消失》
『把他忘了吧。』
《忘了我,至今》
留下那樣的話。

馬鹿野郎、そうはいくかよツ、と深春は腹の中で毒づく。深春にある手かかりのひとつは自分の記憶た。あの『陶孔雀』という、小栗虫太郎の小説から引用した名前を名乗った女。そして京介と消える前に彼女が口にしたことば。

(あいつは京介をお兄様と呼んだ。それから確かお父様がどうたらで、それと、松浦がー)

あの女のいったことを額面通りに受け取るなら、『陶』は京介の妹で、ふたりの父親がその背後にいる。その父親は松浦窮の黒幕でもあった。一九九七年に那須で印南茉莉を操り傷つけ、逮捕されな,がら精神病者を装って刑を免れ、さらにはその病院さえ脱走した男だ。しかも彼と思われる死体が発見されて、それきり消息を晦ませた松浦は、偽名を用いて再びサイコセラピストの仕事を続けていたらしい。鏡平で蒼が恋した少女、七座晶那の家族に起きた二OOO年冬の惨殺事件の背後にいたのも、間違いなく彼、松浦であったのだから。

次には松浦はルポライター宮本信治と名乗って蒼
の前にを現し、一方で以前クライエントだった輪王寺綾乃を操り、さらには『優しい死神』として自殺願望のある若者たちを死に誘い、晶那の手で蒼を殺させようとした。

しかしこの男がいかに狡猾で、実行力に富む悪の天才であったとしても、その軌跡はあざやかに過ぎないだろうか。替え玉死体の出現による死の偽装といい、その後の東京から九州までを股にかけた暗躍振りといい、徒手空拳の個人がこなせる範囲を遥かに超えている。深春にもそれが不思議でならなかったのだが、

混蛋,怎麼會這樣呢,深春在肚子裏吐槽。 深春的一個線索是自己的記憶。 那個自稱是從小栗旬蟲太郎的小說中引用的名字的女人,名叫"陶孔雀"。 然後在和京介消失之前她說過的話。
(那傢伙把京介叫做哥哥。然後父親大人怎麼樣,還有松浦。)
如果按照票面接受那個女人說的話,“陶”是京介的妹妹,兩個父親就在她背後。 那個父親也是松浦窮的幕後黑手。 一九九七年在那須操縱並傷害印南茉莉,雖未被逮捕,卻假裝精神病者逃過刑期,甚至連那家醫院都逃走了。 而且,被認為是他的屍體被發現後,就再也沒有消息了的松浦,用假名再次繼續著精神治療師的工作。 在鏡平和蒼戀愛的少女七座晶那的家族裏發生了二OO年冬天的慘殺事件的背後,沒錯,他就是松浦。
接著,松浦自稱是記者宮本信治,出現在蒼的面前
另一方面,操縱前來拜訪者輪王寺綾乃,並且作為“溫柔的死神”引誘有自殺願望的年輕人死,打算用晶那的手殺死蒼。
但是,即使這個男人是多麼狡猾、富有執行力的惡天才,其軌跡也不過是光鮮亮麗而已吧。 可以說是由於替換屍體的出現而造成的死亡偽裝,從那之後的東京到九州之間的暗中活動,遠遠超過了徒手空拳的個人所能處理的範圍。 難怪深春也覺得不可思議

(京介の父親が松浦のバックにいて、息子に対する
間接的な攻撃の具としてあいつを援助し踊らせた、と考えればー)

(確かあの女も、そんなことをいっていたよな。あ
なたの身代わりとか、あなたが嫌がるだろうと思って、とか…)

(京介は父親に反抗して実家を逃げ出した? だから父親は松浦を使って、息子へ思い知らせようとした、とー)

そう考えれば一応話の筋道はつくようだが、京介の父親からの離反が高校に入るときのことだとしたら、かれこれ十八年前だ。いくらなんでも気が長すぎやしないか。もっともここまで来ると、深春と山梨の実家とのごたごたなどとは別次元の話か、とでも思うしかない。京介の家が実はものすごい大富豪で、相続を巡ってお家騒動でも起きかけているというのか。

(京介的父親在松浦的背後,作為對兒子間接攻擊的工具,讓他幫忙跳舞,這麼想的話……)
(確實那個女人也說過這樣的話。比如說,我覺得你的替身或者你討厭的吧……)
(京介反抗父親,從老家逃了出來,所以父親想用松浦,讓兒子知道。)
這樣想的話大概能找到故事的條理,但如果京介離開父親的時間是進入高中的時候,那大概是十八年前的事了。 不管怎麼說,是不是太久了。 不過,想到了這裡,只能認為這和深春的山梨老家的糾紛是不同次元的。 京介的家實際上是非常大的富豪,圍繞著繼承問題在家裡引起騷動嗎。

もちろん京介はそんな、金や地位や権力に興味を持つタイプじゃない。なにも聞かされていないとはいっても十数年のつきあいで、その性格くらいは吞み込んでいる。人格円満とは到底いえないあいつだが、物質的な欲望はおよそ淡泊だ。膨大な相続財産とそれに伴う義務を押しつけられるなど、彼には災難以外のなにものでもあるまい。

だが考えてみるとあいつの生活全般に対する無頓着き、服は着られればいし、食事は取り敢えず腹が満たされればいいといわんばかりの執着の無さというのは(深春たちと暮らす内に少し変わってはきたものの)、彼がそれまで一度として飢えたことも着るものや寝場所に困ったこともなく、すべてを潤沢に与えられていたことの裏返しではないか、とも考えられる。要するに「いい家のお坊ちゃんだったのだと考えれば納得出来るのではないか。

だがそこまで考えて深春は、待てよーと思う。

(それならなんだってあいつは、失踪したんだ。なんのために……)

當然京介不是那種對金錢、地位和權力感興趣的類型。 雖說什麼都沒聽說過,但交往了十幾年,性格也就淡薄了。 雖然那傢伙無法說人格圓滿,但物質上的欲望卻很淡泊。 被强加了龐大的繼承財產和伴隨而來的義務等,他除了災難之外什麼都不是。
但是仔細一想,他對整個生活都漠不關心,衣服可以穿,吃飯可以先吃飽就好了,這種無執念的感覺(雖然在和深春他們生活的過程中發生了一些變化) 他從來沒有挨餓過,也沒有為穿的衣服和睡覺的地方而困擾過,可以認為這是把一切都交給了潤澤的反義詞。 總之,“一想到他是一個好家的少爺,就能够接受了吧。
但是考慮到這一點,深春還是想等一下。
(這樣的話,那傢伙為什麼會失踪呢?為什麼……)

松浦の件を父親の仕業と考えるなら、当然のことに善良な人間とはいえない。倫理観の欠落した、それでいて自分は正しいことをしていると信じて毛ほどの疑いも持たない、化け物じみた悪党だとも考えられる。だがそれにしても、「桜井京介を忘れろ」とはただごとではない。

(父親と会って、つまらない真似は止めろとねじ込
む。なにをしようとおまえのいう通りになるつもりはないぜ、と引導を渡す。それくらいならまあ、あるかも知れないさ)

(だけどそれだったら、あんなふうに消える必要はないよな?)
(その父親と会うだけで、そこまで覚悟しなけりゃならないような怪物だって?ー)

さすかにそうなると、深春の想像力ではとてもつ
いて行けない。

(あいつの親のこととか、これまでになこか人伝てにでも、聞いた覚えはなかったっけ…)

(確かなにか…)

如果把松浦的事情當做父親的事情來考慮的話,當然不能說是善良的人。 雖然缺少倫理觀,但也相信自己做的是正確的事情,毫不懷疑,可以認為是一個妖魔鬼怪般的壞蛋。 然而即便如此,“忘了櫻井京介吧”也不是一件普通的事。
(和父親見面後,我勸他不要做無聊的事。我會引導他說,我不打算做什麼都像你說的那樣。這樣的話,也許會有。)
(但是那樣的話,就沒有必要那樣消失了吧?)
(只是和那個父親見面,就必須要做好覺悟的怪物)
如果是這樣的話,用深春的想像力是很難跟上的。

(我不記得聽說過他的父母,甚至告訴別人...)(可以肯定的是...)

『父親を殺したいと思うのは、麻生ハジメだけじゃないぜ』

『 しかしすべての父親が、飯村さんほど愛情深いわけでもねえさ 』

(神代さん!—)

そうた。あれはいまから十四年前、深春と京介が知り合った下宿で起きた、殺人を含む事件が落着した後京介か妙に落ちこんでふさぎこんでいるのが不思議て、神代教授に「どうしたんですか、あいつは」と尋ねたときの答えだ。そんな思わせぶりないい方をされても、なんだかさっぱりわからない。だがらたふん重ねて「なんですか、それ」とでも聞き返したはずたか、結局誤魔化されてそれきりになつてしまつた。

いまの状況にそれを重ね合わせるなら、

1 . 京介は父親を殺したいと思ったことがある。
2 . 父親も息子の京介を愛してはいない。

ということになるだろうか。

(そり親父なんてものは、元気なときは特に、息子にとっては惜たらしくて、殺してやりたいくらいのことは思うよなあ。俺だって—)

(そしてそう思っているときは、父親の愛情なんて信じられやしない—)

“想殺父親的不只是麻生晃一。”
“但是,並不是所有的父親都像飯村那樣深愛著。”
(神代先生/—)
是的。那是十四年前,在深春和京介相識的公寓裏發生的,包括殺人在內的事件解决後,京介奇妙地陷入了消沉,不可思議的是,神代教授對他說:“那傢伙怎麼了?” 當被問到“這是什麼?”的時候,他回答道:“即使你用了這種故弄玄虛的說法,我也完全不明白。但是,我不知道你是不是重複著問“那是什麼?”。
如果和現在的狀況重疊的話
1.京介曾經想過要殺父親。
2.父親也不愛兒子京介。
是這樣嗎。
(那老頭子什麼的,特別是在他身體好的時候,對兒子來說特別可惜,想殺了他。我也是——)
(而且,這樣想的時候,無法相信父親的愛——)

その父もすっかり老いぼれたいまとなっては、そんな気持ちは深春から消えたが、酔って母親に手を挙げることも珍しくなかった昔を思い出すと、いまさら好々爺の顔で仏壇に手を合わせているのを見ても、孝行したい気持ちはあまり湧かない。

(いや、俺のことはどうでもいいんだ)

(それよりも問題は、神代さんが京介の父親を知っていて、ふたりの親子関係についてもそれなりに承知しているってことじゃないか…)

それ以上ごちゃごちゃ考えていても仕方がないと思い、神代家に電話をかけた。

「つかぬことをうかがいますがね、神代さんはどんな事情で、高校生のあいつを下宿させることになったんですか」

一番聞きやすいことから聞こうと思って向けた問いがそれで、だがそれに返ってきたのはしばしの沈黙と、恐ろしく無愛想な反問だ。

「そんなことを、聞いてどうする」

現在那個父親也已經老朽不堪了,這種心情從深春消失了,但一想起以前喝醉了向母親舉手也不稀奇的事,即使現在看到他還用一副慈祥的臉在佛壇上合掌,也不怎麼想孝順他。
(不,我不在乎。)
(更重要的是,神代先生知道京介的父親,對於兩人的父子關係也相應地瞭解了吧…)
我覺得再胡思亂想也沒辦法了,於是給神代家打了電話。
“我想問一下,神代先生是因為什麼原因讓他高中生寄宿在這的呢?”
因為是最容易聽到的,所以我想問的問題就是這個,但是,回答那個問題的是短暫的沉默和可怕而又冷淡的反問。
“你聽到那種事要怎麼辦?”

まさかそう返されるとは思わなかった。「どうするって、あいつの行方を捜すために決まってるじゃないすか」

電話の向こうで再び神代は黙した。そのあげくに聞こえてきたのは、

「悪いが、ちょっと考えさせてくれ」

これだけで切られてしまい、その取りつく島の無さ加減に然とする。京介が姿を消す直前のことは細大漏らさず語っていて、神代はひどく深刻な表情でそれを聞いていたというのに。

結局我慢しきれずに、深春は許しを得ぬまま西片町の神代宅に押しかけた。門前払いを喰らうのも半ば覚悟の上だったが、意外にもというべきか、通されたのは床の間のある座敷だ。黒っぽい細かなにかを着て床を背に座った神代の顔は、電話の声から感じられた以上にむっつりとして取っつきが悪い。だが、ここに来て遠慮していても始まらないと思ったから、茶も出ぬ前に深春は口火を切った。

沒想到會被那樣回答。 “怎麼辦,不是為了尋找那個傢伙的下落嗎?”
在電話的對面神代再次沉默了。 最後聽到的是:
“不好意思,讓我想想。”
僅僅這樣就被切斷了,那座附身之島的無把握讓人愕然。 京介消失之前的事情都是無微不至的說出來的,神代明明是用非常深刻的表情聽著的。
結果還是忍不住,深春沒有得到原諒就去了西片町的神代家。 吃閉門羹已經有了一半的覺悟,但意外的是,被帶到了有壁龕的房間。 神代穿著一件很黑很細的衣服坐在地上,他的臉比從電話裏的聲音中感覺到的還要不好。 但是,我覺得來這裡客氣一下也沒用,所以在茶還沒出來之前,深春就開始了。

「断るまでもないでしょうが、京介のことです」

「—ああ」

「神代さん、あいつの父親を知っているようなこといっていましたよね」

「そうか?」

「ずいぶん昔、輝額荘の頃ですけどね」

「……」

「あいつのことも子供のときからよく知っている、とか、いいませんでしたっけ」

正確には輝額荘の事件のとき、酔った神代が京介に向かってそのようなことを口走ったのを、そばで聞いていたのだ。後で京介に尋ねると、「まあね」という答えが返ってきた。いまも神代は否定はしない。だが、目が横を向いて泳いでいる。

「そうだったかな」

「いつ、どこで知り合ったんです?」

「古い話だよ」

答えにもなっていない。

“不要拒絕,是京介的事。”
“—啊”
“神代先生,你說過你好像知道那傢伙的父親吧。”
“是嗎?”
“很久以前,是輝額莊的時候。”
「……」
“你不是說過,跟那傢伙從小就認識嗎?”
正確地說,在輝額莊事件發生的時候,在旁邊聽到喝醉了的神代對京介說了那樣的話。 之後問了京介,得到了“嗯”的回答。 現在神代也不否定。 但是,眼睛卻側視著游泳。
“是嗎?”
“什麼時候,在哪裡認識的?”
“這是老話。”
答案也沒有。

「今回のあいつが消えたことと、関係はないっていうんですか?」

「そんなことは、俺にゃわからねえが」

「でも、俺は聞いたんですよ。あのジャーナリス
トだかライターだかっていった女が、あいつのことを『お兄様』って呼んだのをね。それから、お父様がどうとかって。つまりあいつを連れて行ったのはあいつの妹で、その背後にはあいつの父親がいる。それなら京介が消えた先はやつの実家だ。そう考えることに矛盾はないでしょう?だったら、そこに行きゃあいつが見つかる公算は高い。違いますか。だからどこで知り合ったんだか、どんな経緯でここに下宿することになったのか、それを教えてくれっていってるんです」

「見つけて、どうするんだ」

「取り敢えずは、俺に一服盛るなんて馬鹿な仕打ちをしやがった、その落とし前をどうつける気かって聞いてやりますよ。話はそれからだ」

“你說這件事和那傢伙消失了沒關係嗎?”
“那種事,我不知道。”
“但是,我聽說了。那個是記者或者是作家的女人,把那傢伙叫做‘哥哥’。” 然後爸爸就不知道了。也就是說,把那傢伙帶走的是那傢伙的妹妹,那背後有他的父親。那樣的話,京介消失的地方就是那傢伙的老家了。這樣想的話就沒有衝突了吧 這樣的概率很高。不是嗎?告訴我你是在哪裡認識他的,他是因為什麼原因住在這裡的。”
“找到了,怎麼辦?”
“總之,我會先問問你,你是怎麼對待我這件事的。那件事之後再說。”

座卓を挟んで座った神代は、腕組みしたまましばらくなにもいわなかった。そしてようやく口を開いたかと思えば、

「おまえのいうことはわかるが、これは俺の一存で話すわけにやいかねえことなんだ」

「だったら誰の許可が要るんです? 門野の爺さんですか?」

「まあ、な」

「じゃあ俺があの爺さんを捕まえて、許可をもらってくればなんでも包み隠さず話してくれる、そういうこってすか。それともあなたからじゃなく、門野さんから聞けってそういうことですか?」

「仮定の質問には、答えられない」

そこてとうとう深春は切れた、というわすだ。

「なんてすかそれは。いい加減にしてくださいよ、神代さんツ」

神代夾著桌子坐著,抱著胳膊一會兒也沒說什麼。 然後好不容易開口了
“我明白你的意思,但這事我不能一個人說的。”
“那麼需要誰的許可呢?是門野的爺爺嗎?”
“嗯,是吧。”
「那我抓住那個老頭,得到許可的話什麼都能毫不隱瞞地告訴我,就是這樣嗎。 還是說不是從你那裡,而是從門野先生那裡聽說的呢」
“我不會回答假設的問題。”
於是乎,深春終於結束了話題。
“這是怎麼回事?請適可而止吧,神代先生。”

02

仮にも相手は恩師。一応の敬意は払ってきたつもりだが、それにも限度はある。そうでなくてもあれから二一週間、あてどのない焦燥に駆り立てられて気の休まる暇がないのだ。声を張り上げるだけでは足りなくて、座卓の面を思い切り手のひらでぶっ叩いてしまった。

思いがけず大きな音が出て、反射的に首をすくめかけたが神代は怒らない。依然むっつりとなにかを抱えこんでいる鬱屈した顔は、どちらかといえば気が短くて腹にものを溜め込まない、言動明快な日頃の師にはおよそそぐわぬものだ。

そのとき、中廊下側のがすうと開いた。入ってきたのは両手で盆を持った蒼だ。

「いらっしゃい、深春。元気だった?」

「あ、ああ。おまえも」

即使對手是恩師。 雖然我已經付了一點敬意,但也有限度。 即使不是那樣,在那之後的兩個星期裏,總是被毫無目的的焦躁所驅使,沒有休息的時間。 只是提高聲音還不够,狠狠地用手掌敲了一下案頭
沒想到發出了很大的聲音,反射性地縮了脖子,神代卻不生氣。 依然悶悶不樂地抱著什麼悶悶不樂的臉,總的來說和那些性急、不把東西藏在肚子裏、言行明快的老師根本不相稱。
那個時候,走廊一側的突然打開了。 進來的是雙手拿著盤子的蒼。
“歡迎光臨,深春。你最近怎麼樣?”
“啊,啊,還不錯。”

「夜だけど、ほくが飲みたいからコーヒーにした。いいでしょう?」

拭き漆の座卓の上に蒼が置いたコーヒー・カップのデザインが、ふと深春の目を惹いた。丸みのある白磁のカップに、赤、黄色、淡い水色の重なり合う同心円は、花のようにも水面の波紋のようにも見える。フランク・ロイド・ライトが、帝国ホテルのダイニングのためにデザインしたカップ、正確こはその復刻だろう。

いまても東京の帝国ホテルでは同じ意のカップ
のかられているか、カップの形はもっとモダなそえられている。しかし深春はこの、ライトが造ったのとそっくり同じカップでコーヒーを供されたことがあった。桜井京介とともに訪れたある人物の住まいて。それもまた、いまを遡る四年前のことだったがー

「もしかして神代さん、これ、飯村さんの形見ですか? 」

“雖然是晚上,但我想喝點熱乎乎的,所以就喝咖啡。好吧?”
蒼放在擦漆的桌子上的咖啡杯的設計,突然吸引了深春的目光。 圓形的白瓷杯上,紅色、黃色、淡藍色的同心圓重疊在一起,看起來就像花一樣,也像水面上的波紋。 法蘭克・羅伊德・萊特為帝國飯店的餐廳設計的杯子,正確的說應該是複刻吧。
現在在東京的帝國飯店也有同樣意思的杯子
或許是因為杯的形狀更加錯綜複雜。 然而,深春卻用和燈光製作的一模一樣的同一個杯子來提供咖啡。 和櫻井京介一起拜訪的某個人物的住所。 那也是,追溯現在的四年前的事
“難道神代先生,這是飯村先生的遺物嗎?”


輝額荘の事件。京介とふたり、探偵の真似事をして、東京のあちこちから栃木県の大谷まで駆け回る羽目となった、あの十九歳の冬。だがそのきっかけは、神代がイタリア時代に知り合った友人である飯村路易に、かけられた殺人の疑いを晴らしてくれという要請を押しつけたからだ。神代が京介を子供のときから知っているというのも、そのときに耳こ挟んだのだ。

だが神代はその間いを無視して、蒼に尋ねる。

「蒼、わざとか?」

「ざあ?その頃ほくはまだ、ここにはいなかったし先生とも深春とも出会う前だし、その事牛のことは深春から聞いただけだし、飯村さんって建築評論家の本は京介から借りて読んだことはあるけど、いまこのカップを使ったのが故意か、なにか意があるのかってことが先生の質問の意図なら、ただの偶然ですって答えるしかないです。ただ、なんとなく目についたんだって」

輝額莊事件。 那個十九歲的冬天,我和京介因為模仿偵探,從東京各處跑到栃木縣的大穀。 但是,這個契機是神代向義大利時代認識的朋友飯村路易提出了一個請求,要求他解除被殺害的嫌疑。 神代從小就認識京介,那時候就聽到了。
但是神代無視這段問題,問蒼。
“蒼,故意的?”
“那時候我還沒在這裡,還沒和老師和深春相遇,這件事我只從深春那裡聽說過,飯村先生跟建築評論家的書我從京介那裡借來看過,現在是故意用這個杯子嗎,有什麼意圖嗎?” 如果這是老師提問的意圖的話,只能回答說只是偶然。只是,無意中看到了。”

ひどく静かな口調で答えながら、入ってきた襖を背に正座した蒼は、自分の前に置いたカップを取り上げて続ける。

「でもぼくの知らない頃の京介のことは、なんでも知りたかったから、深春から聞いた話は全部ちゃんと覚えているし、誰がなにを話したかということも頭に入っているつもり。だからいま台所でライトのカップが目についたのも、偶然というより無意識の仕業なのかも知れません」

深春は口を結んだまま、そういう蒼の横顔を見つめる。京介の失踪という事態がもはや否定しようもないということがわかったとき、深春が真っ先に考えたのは蒼のことだった。

蒼にとっては他の誰にも代え難い特別な存在であるはずの、桜井京介が姿を消した。少なくとも暴力で連れ去られたのではなく、自分の足で。しかも「桜井京介は今日限り、この地上から消える」そんなことばを言い残していった。

一邊用非常安靜的語調回答,一邊將進來的拉門正坐在背後的蒼,繼續拿起放在自己面前的杯子。
“但是我不知道的時候,京介的事情,什麼都想知道,所以從深春那裡聽來的話我都會好好記住,誰說了什麼我也會記在腦子裏。所以現在在廚房看到了燈杯,與其說是偶然,不如說是無意識的行為 也許是我的職業”
深春緊閉著嘴,凝視著那樣蒼白的側臉。 當得知京介失踪的事態已經無法否定的時候,深春最先想到的是蒼。
對蒼來說是其他任何人都難以替代的特別存在的櫻井京介消失了。 至少不是被暴力帶走的,而是用自己的脚。 而且還留下了“櫻井京介今天就從這片土地上消失了”這樣的話。

それはつまり、京介という人間に関わりを持った自分たちを、今日限り完全に切り捨てる、という意味てはないのか。蒼はそのことに耐えられるのか。大人のエコに翻弄されて自らを見失いかけ、緘默の殼に閉じこもることでようやく生きていた子供。その殼を真実という斧で叩き割り、外へと引きずり出し、親たちに与えられた名前ではない第三のそれ、『蒼』という名を与えることで新しい道を示したのは桜井京介なのだ。その京介が自らを抹殺するという宣言は、蒼の自我にもまた破壊的な影響を及ぼすのではないか。

そんな馬鹿なことはない。蒼はもう昔の蒼じゃない。とっくに京介の手を離れて、自分の足で歩いている。そう思っても、胸に兆す不安は癒されない。京介の消えた先の情報を求めて家中をひっくり返したり、しゃかりきになって頭を絞って以前聞いたことばを記憶から引き出したりしたのも、蒼のことが気がかりでじっとしていられなかったからだ。

那也就是說,把和京介這種人有關係的自己,在今天就完全捨棄掉,難道不是這樣的意思嗎。 蒼能忍受那件事嗎。 被大人的環保愚弄而迷失自我,封閉在緘默的殼裏勉强生存的孩子。 用名為“真實”的斧子敲打著殼,將殼拖到外面,給父母們的不是名字的第三個,給予“蒼”這個名字的是櫻井京介。 那個京介抹殺自己的宣言,對蒼的自我也帶來了破壞性的影響吧。
沒有那麼愚蠢的事。 蒼已經不是以前的蒼。 早就離開京介的手,用自己的脚走著。 即使這樣想,胸中的不安也無法治癒。 為了尋求京介消失之前的情報而翻倒家中,或是乾脆地絞盡腦汁把以前聽過的話從記憶中引出,都是因為擔心著蒼的事情而不安。

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羽玥 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()

第一次寫文獻給水泉大大的同人文比賽!!

原著向,cp感可能會不太明顯

羽玥 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()